初めまして、ライターの本谷(@motoyatt)といいます。誰だコイツ、って思う方も多いと思いますが、こちらもあなた方を誰だコイツって思いながら書いてるんですよ。今日からマイメン(ズッ友)の方向でご容赦お願いします。
僕は某IT企業でドカタ職として働いています。最近は「ゴミ処理の人」とか「ゴミ」とか言われたりします。
ゴミのような仕事ばかり拾っていた結果、ついにゴミ呼ばわりの栄光を賜わるまでになりました。
話が逸れましたね。それでは、本題に入ります。
偉き人「今の若い人はあまり残業できなくてかわいそうだね」
これは僕が入社してまだ3ヶ月ぐらいの、色々な部位に毛も生え揃っていないくらいの頃の話です。
「新入社員の仕事ぶりを見る」という名目で、会社の偉い人たちが新人の職場を巡ってくるというイベントがありました。
パソコンに向かって一心不乱にシステム故障の分析報告を打ち込む僕に、偉みの溢れる人は尋ねました。
偉「仕事は慣れてきた?」
ぼく「はい(なんだこいつ)」
偉「そうかそうか、良かった。まずは仕事に馴染めるかどうかだからね。次に、仕事に打ち込めるか。この仕事にやりがいを持って取り組めそうかな?」
ぼく「そうですね、今のところは充実して取り組めてると感じます(偉そうだなこいつ)」
偉「おお、それは良いね。とはいえあまり働きすぎて身体を壊さないようにするんだよ。」
ぼく「ははは、大丈夫です。プライベートとバランスをとって取り組んでいます」
偉「良いね。しかし最近の子たちはあれだね。かわいそうだね。」
ぼく「? どうしてですか?」
偉「いや、社会が厳しくなってあんまり残業できないからさ」
ぼく「!?」
ーー以下偉い人の『若い頃の俺はこんなに働いてたぜ』アッピールーー
あまりの意味分からなさに呆然とし、しばらくおそ松くんみたいな表情でへらへらしてた記憶があります。お粗末な顔面でごめんなさい。
「残業できなくてかわいそう」って?? バーーッカじゃねーーー????
そんなこと言っちゃうおじさんの方がはるかにかわいそうだと思うんですが。
「残業できなくて(その結果、賃金が少なくて)かわいそう」
なら分かる。こちらもギリギリの財政事情で暮らしておりますので。もううまい棒とキャベツ太郎買ったらガリガリ君よ僕の賃金は。
それでも、残業はいかなる理由があってもしたいと思わないけどな!俺は賃金のために畜生のフリをすることはあっても、魂までは会社に売り渡さん!
偉い人の頭の中では
どうやらこの偉い人の頭の中では、僕の一言からだいたいこんな論理展開が起きてるみたいです。
↓
仕事が好き(偉い人の思い込み)
↓
働きたい(偉い人の思い込み)
↓
限界まで働きたい(偉い人の思い込み)
↓
規制が厳しくなり、残業ができなくて辛い(偉い人の思い込み)
もうすごいストーリーテラーですよ。想像力豊かすぎるだろ稲川淳二かよ。
そもそも「仕事が嫌じゃない」もかなり無理した社交辞令ですよ。切り札の殺し文句よ。課長ぐらいの雑魚管理職が相手だったら言わないよこんなこと。
うちの会社で偉くなるということは
「こうして人間の大事な部分を失うことなのか……」
とゾッとした瞬間でした。
しかし実際に社会に出て数年働いてみると、意外とご高齢の世代に、こういった考えを持つ人が少なくないことに気づきます。
自分の苦労を下の世代にも求める大人たち
いま偉みに立っている大人たちは、自分たちの成功体験をベースとした指導を行います。
無論、そういうやり方が必ずしも悪いわけではありません。営業成功のプロセスや、資料づくりのノウハウ、困難と向き合うときのマインドなどは、若い人にとって大いに学ぶところがあるでしょう。
しかし、ことプライベートやワークライフバランスといった領域に踏み込むと話は別。
なんで「仕事がうまくいくコツ」に「圧倒的な徹夜体験」持ち出して喋り出すんだろう?
オーバーワークが当たり前だった時代の精神論を振りかざされると、ゆとり世代は圧倒的な心の壁を形成します。もうウォールマリアですよ。その日、壁の中のゆとりは思い出す。なにを?
「残業は普通に辛い」ということを。
もちろん、偉い人たちは悪気があってこういう指導を行うわけではありません。あくまで、彼らの成功体験に基づく「アドバイス」として、若い世代に苦労することを要望します。
しかしこれは前時代の遺物。労働基準法の表紙でケツを拭いていた時代の悪習でしかありません。今や日本は法治国家。天下の電通でも、人の生死に関わる事件を起こせば労基署にぼこぼこにされる時代です。
この文明時代に新卒サラリーマンとしてキャリアをスタートさせた僕たち若者にとって、「苦労is至高」マインドはカビ臭すぎます。
苦労することが必ずしも悪いわけではないですが、そのマインドがサービス残業や長時間労働の常態化の温床に一役買っていることは疑いありません。
労働基準法で偉い年寄りたちを殴りつけることができるようになった現代。僕たちの次の世代には、個々人のライフスタイルを尊重した働き方・マインドを伝えられるようになるといいですね。
おわりに:残業できない事は、別に何もかわいそうじゃねえ
今回は、僕が実際に言われた
「今の若い人はあまり残業できなくてかわいそうだね」
を元にあれこれ悪態をつきましたが、他にもこういうことを言われてたりします。
- 「今日は有給で好きなことをしていい日だから仕事ができるんだ」
- 「まだ徹夜したことないの?無免許運転だねそれは」
- 「俺にバツが2つついてるのは俺が悪いわけじゃなくて、バツがつくまで仕事を振った会社のせい」
- 「20階奥の会議室は○○さんの自宅だから」
押し寄せるパワーワードの威力は絶大です。
機会があれば会議室を自宅にしてしまったジプシーの話はまたいつかしたいと思いますが、今日はこんなところで。
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ジプシー
ヨーロッパを中心に各地に散在する民族。箱馬車などに住んだが、現在は多くが定住。男は鋳掛け、女は占いなどで生活をたて、各地で差別を受けた。特有の音楽・舞踊の伝統をもつ。
ジプシー-wikipediaより引用
この記事を書いた人
ライター:本谷
港区でいかがわしいIT業に従事する音楽好きクソリーマン。 休みのほとんどを休みに費やす陰キャラ。 最近のマイブームは恵比寿のOLを馬鹿にしながら飲むグリーンスムージー。
ブログ:UTSUKE-JOURNAL
Twitter:@motoyatt
☆←ヒトデの一言
草食系男子に次いで稲川淳二系上司も流行らせていきたい