20代のころに派遣社員として、大手製造業の子会社が運営する作業ラインに入っていたことがあります。
いわゆる組立工というやつです。
数ヶ月~2年程度の短期間で派遣社員として工場勤務を考えている方に
「こんな労働実態があります、それでもやるか事前によく検討してくださいね」
という思いから記事を書かせていただきました。
また、どうしても仕事に行きたくない方はこちらの記事も読んでみてください
作業内容の概要
組立工が行う作業は精密機器のパーツの組み立てです。
その工場では携帯電話のパーツを製造ラインで作っていました。
自分が組み立てをしていたのは、携帯電話のカメラに該当する部分でした。当時はガラケーのカメラの部分の製作部署に派遣社員として勤務することになり
「携帯電話の中ってこんな風になっているんだ。こんな製造ラインで作られているんだ」
と驚いたのを覚えています。
日本のみならず、アジアやヨーロッパにも輸出していたようで、12時間の昼夜交代制勤務で、12時間の勤務の中で多いときは6,000個ほどのパーツの組み立てをこなしました。
約6,000個もゼロから組み立てたわけではなく、1工程を担当する5人が班になっていて、5人がそれぞれ
- パーツへの接着用樹脂塗り付け
- パーツへの制御基盤接着
- 制御基板へのはんだ付け
- ネジうち箇所への電動ドライバー打ち込み
- 個体検査
という5作業を担当していました。
この作業担当は基本的に変わりません。1年以上も同じ作業を何度も何度も何度も毎分毎時毎日反復してこなします。
作業の環境
精密機械の工場では一般的にはクリーンスーツを着て作業します。
クリーンスーツというのは自分の髪の毛、唾液、表皮等小さなゴミや粉塵が製品に付着するのを防ぐために着る。特殊なスーツです。
そしてゴム手袋とマスクも着用します。
そういう環境で作業をするととにかく暑い。
クリーンルームの室温は27~28度程度で年中保たれていますが、早く反復作業を行う様に教育されているおり、またグループリーダーから見られているので、不自然に作業を緩めることもできません。
クリーンスーツの中はすぐに汗だくになります。
そんな超単調作業を夜勤の超劣悪な環境で何カ月もこなしていると体調がおかしくなってきました。
何がどれくらいおかしくなったか
作業が単調すぎて頭が働かなくなった
頭の一部分しか使わない作業をたんたんと何時間もこなすと、頭がぼけるというか、頭が鈍くなっていくのが自分でもわかりました。
日常生活の中で以前はできていた計算とかが遅くなったり、人の名前やモノの名前などの固有名詞を思い出すのに以前よりも苦労する様になりました。
まだ20代なのに。
これはやばいかなと思ったので、マスクの中で声を小さくして歌を歌ったり、頭に浮かんできたイメージを連想的につなげたりして、頭がぼけすぎない様にしました。
効果の程はわかりませんでしたが、鈍くなりつつある頭へのせめてもの対策でした。
動悸が少し早い体質になった
私は夜勤でした。
常に夜勤をこなしていると、体の恒常性に異常が出はじめたようでした。
勤務開始後1年くらいした時期に、ほんの少しですが座っているときでも心臓の鼓動が少し早くなっているように感じ始めました。
もしかしたら他に理由があったのかもしれませんが、そのころ昼間に寝て夜に働くという生活でした。
太陽の光を一杯浴びれないことにストレスを感じていたので、体がその環境に抵抗していたのかもしれません。
平熱が少し高くなった
動悸が少し早くなった後には、体温に異常を感じました。
0.5度程度ほんの少しですが、派遣工として勤務する前と比較すると少し基礎体温が上がったようでした。
人間は外気温が1度上昇しても大きな環境変化として感じるようですでので、体温の0.5度の上昇も実際以上の体感として感じられたのかもしれません。
休憩時にその場にへたり込むようになった
クリーンスーツってとっても脱ぎにくいんです。
作業員に与えられた休憩時間は2時間半に1回の休憩につき15分程度でした。(食事休憩は1時間ありましたが)
休憩時間を少しでもゆっくり休むためには帽子、マスク、長靴、そしてスーツを即座に脱がなければならないのですが
作業場→更衣室→着替え→休憩所→着替え→更衣室→作業場
という移動と作業を15分で行うと休んだ気がしません。
そのうち、一人二人と休憩時間にクリーンルーム外に出ず、更衣室での着替えをしないで、その場で座り込むことで休憩を取る人たちが増えてきました。
そうなるとトイレ休憩ができない為、次の休憩までさらに2時間半くらいトイレに行かないことになります。
そんな状況が続くと、体が尿をできるだけため込むようになったのか、一日の排尿回数が以前に比べて減るようになりました。
それって多分体にすごく悪いことなのだと思います。
一番辛かったのは募集要項と違ったこと
劣悪な職場環境であっても、自分がよく説明を受けていて、それでもやるぞという心の準備ができていれば何とか頑張れます。
一番納得がいかなかったのは派遣会社の人から聞いていた職場環境と違っていたことです。
元々は
- 夜勤は1週間の研修のうちだけ
- 2時間に1度は休憩がある
- 勤務は1日8時間
と聞いていたのですが、まあ全然違います。
当時は労働派遣法の改定により派遣会社が乱立た直後であり、製造業へ労働者を派遣するうえでの問題が社会的に顕在化する前でしたので、かなりひどい労働者派遣が行われていました。
結局お金が必要だったのですぐに辞めるわけにもいかず1年半続けましたが、辞めてしばらくはおかしくなった体調を元に戻すのに大変な思いをしました。
これから派遣会社に登録して派遣社員と働く人に伝えたいこと
これから派遣社員になる人たちに伝えたいことは
「派遣会社から派遣先と条件提示があったときには、インターネットとくに掲示板や口コミサイトを活用して実態を確認したほうがいいですよと」
いうことです。
自分は後で気づいたのですが、大手掲示板でその作業場のスレッドができていたりして、かなり実態に近い作業内容がかかれていました。
元々これを読んでいれば行かなかったのにと思いましたし、今では口コミサイトがたくさんあります。Twitterでも実態が書かれているかもしれません。
事前にきっちりと職場調査をして、私のようなひどい経験や理不尽な思いをすることが無いようにして下さいね。
この記事を書いた人
ビルメン会社勤務のアラフォー会社員(ID:synpa)です。
勉強法とか、資格とかの記事を主に書いていますが、今後はレビュー記事とかFX記事とか書いていきます。好きな映画は『ショーシャンクの空』と『コラテラル』と『インセプション』です。お酒が好きで日本酒『天狗舞』を15年愛しています。
ブログ:From West New
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