ほとんどの方は、はじめまして。
花のお江戸は東京の丸の内界隈で「箱屋」と言うフェチでニッチな商いで、ご飯を食べています。”箱根ヶ崎P.N.3″と申します。
サラリーマン、良い職業ですよね。
黙ってそこに居さえすればお給料が貰えるのは、アルバイトには無い大きなポイントです。
更に、20代の時はそれほど意識しませんでしたが
- 各種福利厚生
- 税金
- 保険関係
独立すると全て自分で処理をしなければいかない事務関係を、全自動で他部署がやってくれるのは楽な部分だと思います。
今回、何故寄稿する流れになったかと言うと、少し前に職場で大量にうつ病の方を出した事で、会社や業界、更には社会に対して働き方の疑問を感じた事が大きいです。
多少のぼやかした部分はありますが、大筋は箱根ヶ崎の体験になります。
しばし、おつきあいください。
前兆:「ヘルプ」の罠
まず、簡単に箱屋の仕事に触れたいと思います。
読んで字の如く箱を作ったりしていますが、その他にもある分野の広告代理店の様な動きもしています。
その為、数年前から箱根ヶ崎の職場では
「より先進的な物・事をいち早くキャッチする部署」
を立ち上げました。
当初は宣伝広告の情報収集を中心に行っていた部署ですが、繁忙期に伴い、徐々にその仕事は情報収集から宣伝広告のデザインに変わって行きました。
その部署に居る人が、元デザイナーだった事もあり、最初は
「ちょっとヘルプでデザイン案件を見る」
くらいの仕事量だったはずが、いつしかメインの業務になって行きました。
その部署自体が会社の社風からすれば実験的な部署だった事もあり、いわば完全独立実験部隊。
どの様な動きをしているか、どの位の仕事量をこなしているのか、今振り返れば職場の上役も含めて正確に把握している人は、当人以外居なかったと思います。
そして”独立独歩”と言えば聞こえはいいですが、上役の管理を外れた実験部隊の仕事量は飛躍的に増えていく事になります。
また、業界自体が抱える問題でもありますが、短納期の案件が多いです。
さらにデザイン先行で仕事が進むため、実験部隊の進捗状況がダイレクトに他部署に影響する状態になっていました。
クライアント側でも短納期に対応する為、土曜日出勤は元より日曜日にも案件の修正依頼がメールで舞い込みます。
流石に正月は静かだった様ですが、1月2日の朝5時にメールが来ていたのは驚きました。
あまり褒められた事ではありませんが、実験部隊の人は終電で帰って家のMacで仕事の続きをやって、朝3時位にメールで提出。
翌朝(ってか数時間後)に出社したら、提出内容にガッツリ修正の赤字が入ったメールが来ている。なんて事が良くありました。
発生:「こんな範囲にまで被害が及ぶなんて……」
そんな状態が1年ほど続いていたある日。
実験部隊とは別の部署で大きな事故が発生しました。
「事故」と言うのは、いわゆる交通事故等はちょっと意味合いが違って、この場合は”ある案件において致命的なミスが発生する”と言う説明が適切でしょうか。
箱根ヶ崎も、箱屋を始めた時から「事故ると半端無い事になる」とは聞いていました。
幸いな事にミスは何度かありましたが、致命的なミスはなんとか避けていました。(危ない時はありました……)
クライアントの会社にダッシュする上役。
事故対応の善後策を協議する管理部隊。
その他の人間は”職場内の人手で出来る対応策”に奔走しました。
業界にもよりますが、こういう大きな事故の最終的な解決策は、熱狂的犠牲を伴った人海戦術になる場合があります。
更に仕事って1社で完結するものじゃなくて、その先・そのまた先と数珠つなぎに繋がって行くので、当然事故の結果も次々に波及していきます。
当初の想定を通り越して、拡大する被害範囲と被害額。
さながら、映画シン・ゴジラで、アメリカ空軍がゴジラ空爆の為、被害が及ぶ範囲を政府に連絡してきた時の様に。
箱根ヶ崎達は
「こんな範囲にまで被害が及ぶなんて……」
とただただ唖然とするばかりでした。
それから約3ヵ月。
どうにか事故も終息し、忙しくも平穏な日々が戻ってきました。
事故の被害跡は未だ完全復旧とはいきませんが、なんとか皆日常を取り戻そうとしていました。
職場では事態の終息と、忙しさも一段落した事もあり、ささやかな慰労会が開かれました。
決して豪華な飲み会と言う訳ではありませんでしたが、つかの間の休息、と言った所です。
そして、その場で事件は起きます。
呼吸が出来ない……
「あの、箱根ヶ崎さん……」
呼ばれてふと見ると、実験部隊の元デザイナーさんが箱根ヶ崎の事を呼んでいる。
側にいってみると
「息が……できません……」
と真っ青な顔をしているのが解かりました。
気分も悪いと言うのでとりあえずトイレに付き添い、1時間程しても回復しない・息もしづらいとの事でやむなく救急車を呼びました。
元デザイナーさんが救急搬送されてから約2週間後、上役から聞いた話では
”ストレスによるパニック障害”
を発症したとの事でした。パニック障害は他にも
- 人が密集している所では息が出来ない
- そもそも人が多い場所に行けない
- 体を圧迫される服が着れない
- 電車に乗れない
なんて弊害が一般的です。
数ヵ月後、病院に通いながら出社して来ましたが、やはり職場内の閉塞された環境に居られない、電話が怖い、通勤電車に乗れない等、様々な問題があり退職されていきました。
退職される時に
「僕はこの仕事が好きなのに……こんな形で病める事になって、本当にすみません……」
と涙ながらに話されていたのが印象的でした。
続出:パニック障害は連鎖する
実験部隊の方がパニック障害を発症されたから2ヵ月後、大事故の原因となった担当者が1枚の紙を上役に提出します。
とあるうつ病の診断名が書かれており、この担当者も”要療養”との事でしばらく休職する事になりました。
そこから更に1週間後、別の営業の人間もうつ病の病名の書かれた診断書を上役に提出します。
職場で売り上げ額No.2のクライアントを担当していた為、そのプレッシャーも相当な物だったと思います。
後で聞いた話では、数ヵ月前から頭痛・不眠・不安に襲われていたとの事でした。
前述の担当者が診断書を上役に提出したのを見て
「あ、俺も出しちゃえばいいんだ」
と思ったそうです。
そこから更に、診断書を会社に提出しないまでも、精神薬を服用している人が3名、調子が悪いと電車に乗れなくなるパニック障害を発症した人1名。
人数が10名ちょいの職場で、これは異常です。
結果として退職者3名、要療養者若干名を出して今回の件は職場的には終息に向かいました。
対策として
- 定期休暇の導入
- 定時退社の奨励
- 仕事の軽減
などある程度の対策が取られるようになりました。
ただ、労災の認定などに関しては”うやむや”になりました。
また、個別の保証などに関しても行われませんでした。
最後に:体からの警報を無視するな
箱根ヶ崎もうつ病になりかけた経験があり、経験的な話ですがうつ病は風邪やケガと違い自覚症状が出ない場合があります。
風邪なら熱が、ケガなら痛みが、それぞれ体に異常があると警報を鳴らしてくれます。
ただ、うつ病はその警報装置がぶっ壊れる病気でもある思います。
警報装置がぶっ壊れているので限界まで、限界以上に自分を追い込んで酷使します。
完全にぶっ壊れた警報装置はもう治りません。
うつ病はまともな思考力が無くなるので、大抵ろくな考えが浮かばなくなります。
MAXに箱根ヶ崎がヤられていた時は地下鉄の電車がホームに侵入する時に
「あー、この電車に飛び込んだら明日働かなくて済むな」
って普通に思っていました。
特に死ぬとか、他の人に迷惑が掛かるとか、そんなのはどーでもいいんです。
ただ、明日働きたくない。
その為には手段を選ばなくなります。
自殺って言うと悲壮な覚悟がありそうな感じがしますが、当時の箱根ヶ崎は別にそんな感覚は無くって「腹が減ったから、ご飯食べよう」くらいのフランクな感覚でした。
パニック障害やうつ病も一生直らない病気ですが、それ以上に死んでしまったら元も子もありません。
良くはありませんが、うつ病やパニック障害は体や脳から発せられる「最終警報」です。
体が本能的に
「これ以上はもう無理っす」
と警鐘を鳴らしているのであって、これを無視したり握りつぶしたりしても、決して幸せにはならないと思います。
法律などはあるにせよ、ある一定のラインを越えると会社は助けてくれません。
完全に体の警報装置がぶっ壊れる前に、逃げちゃってもOKだと思います。
精一杯やって出来なかったのなら、それは「仕事量に対して適切なリソースの配分が出来なかった会社・上司の責任」です。
その事に対して、当人が気に病む必要はありません。
会社はあくまで「お金を稼ぐ場所」だと思うので、 あまり密着しすぎず、冷静な距離感を保って付き合っていければ良いと思います。
それでは、また。
この記事を書いた人
名前:箱根ヶ崎P.N.3
スポーツ・旅行・カフェが好きなミニマリスト系ブロガー。
ブログ:No think!
Twitter:@pn3pn3
管理人:☆←ヒトデの一言
うつ病パンデミック……地獄や
- これが本当に自分に向いている仕事なの?
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- そんな風に考えて今の職場で力を発揮できないのは自分の甘えなの?
- 今の職場で駄目なのは才能云々では無くて、ただ単に自分がポンコツなだけなのかな……
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自分の強みを知って、自分に向いている仕事の見つけ方
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