こんにちは、サカ田シオリです。
新卒で結婚式場のパティシエになりましたが、3ヶ月で退職しました。
現在はフリーライター兼おやつ屋さんとして活動しています。
小さなころからの憧れだったパティシエ。
その夢を叶えた私がなぜ3ヶ月で辞めるに至ったのか、その経緯と現在のことについてお伝えします。
パティシエをはじめ、飲食業界が辛くて辞めたい!と悩んでる人の参考になればと思います。
小さい頃からの夢を叶えて、結婚式場のパティシエに
パティシエになるのが、小さい頃からの夢でした。
幼稚園の短冊も、小学校の文集も、中学校の作文も、「パティシエになりたい」って書き続けてきました。
甘い匂いに包まれながらお菓子を作るのが大好きだったし、自分が作ったお菓子を家族や友人が笑顔で「美味しい」って言ってくれるのが何より嬉しかった。
パティシエの仕事がハードなことは、重々承知の上でした。
それでもパティシエになりたかった。
「好きなことだから、どんなことでも耐えられる」
本気でそう思ってました。
高校を卒業後は専門学校に進学。
2年生になると、就職活動が始まります。
私が目指したのは、結婚式場のパティシエ。低賃金の個人店では生活していけないと考えたからです。
パティシエとして長く働きたかったからこそ、福利厚生が充実していて安定した給料が得られるところで働きたかったし、親を安心させたい気持ちもありました。
そんな風に考えながら、結婚式場の企業説明会に片っ端から参加していく中で、ある会社に出会いました。
他の会社のような堅苦しい説明会ではなく、底抜けに明るい雰囲気。
「大変なこともあるけど、仕事はめちゃくちゃ楽しい!」
と語る先輩社員の笑顔がとても印象的でした。
「この会社で働きたい…!」
そう思ったのは私だけじゃなくて、多くの同級生がこの会社を志望しました。
とてつもなく高い倍率。
でもこの会社以外考えられなかった。
熱意が通じたのか、ご縁があり私は唯一のパティシエとして内定を頂くことができました。
涙が出るほど嬉しかったです。
一番入りたかった憧れの企業で、夢だったパティシエになれる!
4月中旬、2週間の研修を経てパティシエとして配属されました。
覚悟は決めていたのに、それでも想像以上の激務の日々
覚悟はしていたものの、想像以上にパティシエの仕事は大変でした。
入社前に「自転車持ってる?」と聞かれ、「なんでそんなこと聞くんだろう…」と不思議に思っていたんですが、入社してすぐにその理由が分かりました。
終電に間に合わないんです。
そのため片道1時間かけて自転車で通勤し、帰宅は0時を超えることがほとんどでした。
朝5時に起きて出勤し、トイレや廊下、厨房などの掃除や仕込みの準備をします。
もちろん業務時間外だけど、下っ端だから当たり前なのがこの業界です。
その後、先輩が出勤して仕事が始まります。
一生に一度のウェディングケーキを作る現場。
ピリピリと張り詰めた空気の中、私に対する怒鳴り声だけが響いていました。
もっともっと、要求され続ける「やる気」
シェフや先輩は「私の成長のため」と、様々な提案をしてくれました。
「休憩時間を利用して、賄いのデザート好きに作っていいよ。別に作りたくないなら良いけど」
「このデッサンの色塗りしといて。勉強になるよ」
「このクリーム、余ったから練習に使っていいよ。今日の業務後、やってくよね?」
絶対では無かった。でも、有無を言わせないその空気に、私は従うしかありませんでした。
やらなきゃ「やる気が無い」と見なされる。
周りも、そして私自身も、そんなの認められなかった。
こうして私は、自分の成長のために、わずかな休憩時間を賄い作りに当て、仕事後は会社に残り練習して、帰宅してからも勉強や練習をするようになりました。
あくまで、自主的に。
周りの言葉とパティシエとしての自分自身に追い込まれていく
長時間労働と怒鳴り声、与え続けられるプレッシャー…
私は少しずつ消耗していきました。
ご飯もゆっくり食べられない毎日の中で、睡眠時間も足りず、思考力はどんどん低下。ミスをしては怒鳴られる。
頑張らなきゃって思うのに、思うように頑張れずまた自己嫌悪。
私にとって苦痛だったのは、シェフの怒鳴り声でした。
毎日のように怒鳴られ、怖くて返事が小さくなる。返事が小さいことでまた怒鳴られる。
次第に声が出なくなり、涙が出てきて、また怒鳴られる、この繰り返し。
「返事が小さい、練習しろ!」
と言われ、ひたすら「はい!」と叫んだ日。
涙が止まらず、この日から私はシェフと顔を合わせると吐き気がするようになりました。
シェフに悪気があったわけじゃないのは分かってました。
パティシエに限らず、飲食業界は昔からそうやって下を育ててきたんでしょう。
シェフもまた、怒鳴られて成長してきた。
私に成長してほしいからこそ、同じように怒ってくれてる。
分かってるからこそ、辛かったです。
お世話になってるのに、私の為に言ってくれてるのに、受け入れられない。
期待に応えられない私は、だめなんだ。
全部完璧にこなさなきゃ。やらなきゃ怒られる。怖い。
日に日に顔色が悪くなっていく私に
「真面目すぎると潰れるよ。肩の力抜いて、ほどほどで良いんだよ」
と何度も言い聞かせてくれた他部署の先輩もいました。
でも閉鎖的なパティシエルームでたった一人の新入社員として作業していると、その言葉すら受け入れられなくなります。
- 「こんなことくらいで弱音吐いてちゃダメだ。もっともっと、頑張らなきゃ」
- 「頑張れない自分はダメなんだ」
こうして、自分で自分をどんどん追い詰めていきました。
変わってしまった自分に気づく。パティシエを三ヵ月で辞める事を決意
この頃の私は、ちょっとした注意でもこの世の終わりかと思うくらいに自分を責めて、簡単な作業でも手が震えるようになっていました。
食べられなくなり、笑えなくなりました。
何事にも気力が起きず、タクシーで通勤することも増えました。
- 「このまま車道に転がれば、もう会社に行かなくて良い」
- 「ここで一歩前に出て階段を踏み外せば、家に帰れるかも」
- 「この漂白剤を飲めば、ここから出られるんじゃないか」
四六時中、そんなことばかり考えるようになりました。
まともな思考が働かなくて、そんな自分にゾッとして、友達に「死にたい」とライン。
「死ぬか辞めるかなら、全力で辞めろ!」とすぐに返信がきました。
あぁ、そうか。私、死にたくないんだ。
自転車置き場で号泣しました。
それからすぐに祖母に電話し、迎えに来てもらいました。
病院で鬱病の診断を受け、退職。
たった3ヶ月で、夢だったパティシエを辞めました。
パティシエを辞めても、自分は自分で、何も変わらないと気付くことが出来た
退職後、人生が終わってしまったかのような感覚でした。
良い会社だったのに、私より頑張ってる人はいっぱい居るのに、頑張れなかった。
ずっと目指してきたパティシエなのに、わたしはなんて弱いんだろう。
自己嫌悪に苦しみ、人に会うのも怖くなりました。
ずっと応援し続けてくれた友達や家族と、どんな顔をして会えば良いのか分からず、ただただ自分が恥ずかしかったです。
そんなときに助けられたのが、友達の存在でした。
「パティシエ辞めても、しおりはしおり。何も変わらんよ」
そう何度も伝えてくれたおかげで、少しずつ前を向けるようになりました。
2ヶ月の休養の後、また働けるまでに回復しました。
自分の夢を叶える道はひとつじゃない
どうして私はパティシエになりたかったんだろう。
「パティシエになりたい」
わたしはずっとそればっかりで、その先のことまで考えたことはありませんでした。
改めて考えて、出てきた答えは
「美味しいものを食べてる笑顔を見るのが好きで、もっと見たかったから」
でした。そして、それを叶える道は、パティシエだけじゃない事に気付くことが出来ました。
今は「おやつ屋さん」として、アイシングクッキーの教室をしたり、イベントでお菓子を作らせてもらったりしています。
道は違えど、パティシエを目指し始めた頃と気持ちは変わりません。
美味しい笑顔をもっと見たい。「食べるを楽しむ」を伝えていきたい。
「夢を叶えて就けた憧れの仕事」を辞めたい人へ伝えたいこと
実際に夢を叶えてついた仕事を辞めた自分だからこそ伝えたいです。
死にたいほど辛いなら、その環境にとどまり続ける必要はありません。
「逃げるのが恥ずかしい」「周りに迷惑がかかる」
違います。
あなたが一番に大事にするべきは、あなた自身の幸せです。
その場所に留まることであなたが幸せになれないなら、勇気を出して、辞めましょう。
あなたがその仕事に就きたかった理由を、是非もう一度よく考えてみてください。
今の職場にしがみつかなくても、私のように違う道があるかもしれません。
仕事を辞めてもそれは終わりじゃない、失うものは何もない。なんとでもなります。
それでも、もうちょっと頑張りたい!っていう人へ。
自分で自分を、思いっきり褒めてください。
褒めて褒めて、褒め続けてください。
周りに何て言われようが、あなたはよく頑張ってます。十分すぎるほど。
それだけは分かって欲しい。
今日もよく頑張りました!!
でも、もし限界なら辞めたって良いんだよ。逃げ道はいつでもあるんだよ。
自分のことを幸せにできるのは、自分だけです。
今の自分の気持を大切にしてください。
また、すぐに転職活動をしないとしても、転職サイトに登録しておくメリットは非常に大きいです。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ありがとうございました!
他の方のブラック企業の体験談と共に
「絶対ブラック企業を辞めた方が良い理由」
を書いている記事もあるので、良かったら読んでみてください
この記事を書いた人
サカ田シオリ
「じぶんの気持ちにとことん従う」ためにフリーライター&おやつ屋さんに。旅と食べることがとにかく好きな、食欲おばけ。
管理人:☆←ヒトデの一言
- これが本当に自分に向いている仕事なの?
- 本当はもっと自分が活躍できる場所があるんじゃないの?
- そんな風に考えて今の職場で力を発揮できないのは自分の甘えなの?
- 今の職場で駄目なのは才能云々では無くて、ただ単に自分がポンコツなだけなのかな……
そんな悩みを持っている方向けに
自分の強みを知って、自分に向いている仕事の見つけ方
をお伝えします