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【障害児保育】福祉職はやりがい搾取に要注意|大好きな仕事なのに気が付いたらうつになって退職した話

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こんにちは、障害のある子どもたち専門の保育士をしているkaka(@kakabl0g)です。

私は希望の仕事について毎日やりがいを持って働いていたのですが、気が付いたらうつ病になっていました。

「仕事が好きで、楽しんでるのにうつ病になんてなるの?」

って思いませんでしたか?

私はそう思っていました。

実際に自分がうつになるまでは。

 

希望の職種で、自分に合った仕事でも、うつ病になることがあるんです。

 

私が大好きな仕事なのにうつになった原因のひとつは、気づかない間にやりがい搾取にあっていたからだと思っています。

この記事では、やりがい搾取が起きやすいと言われている保育士や介護士などの福祉職の人に向けて、

  • 保育士がやりがい搾取で病んだエピソード
  • 福祉職がやりがい搾取に合わないための対策

を紹介します。

【体験談】夢だった保育士になったのにやりがい搾取でうつになりました

やりがい搾取とは、

“経営者が支払うべき賃金や手当の代わりに、労働者に「やりがい」を強く意識させることにより、本来支払うべき賃金(および割増賃金)の支払いを免れる行為”

(引用:Wikipedia

とされています。

私の場合、賃金ももちろん安かったですがそれ以上にやりがい搾取だったと感じるのが以下の2点。

  • 「やりがい」を糧に精神的負担の大きな仕事を続けた
  • 危険な仕事、困難な仕事に対して周囲からのサポートがなく1人で抱え込んだ

仕事内容が精神的、身体的、能力的に自分のキャパを超えているにも関わらず

「子どもたちのために頑張るべき」

「できない自分が悪いんだ」

と思いつめた結果、気が付いたらうつになっていました。

その時のエピソードを紹介します。

夢の保育士になれた!やりがいのある仕事で充実した毎日

私の初めての就職先は、障害のある子どもたちが生活する入所施設でした。

勤務内容は、保育士として子どもたち(2~18歳)の生活面のサポートをすること。

大学で障害児保育を専攻していた私にとって第一希望の職場だったので、そこで働けるのが嬉しくてものすごく喜んだのを覚えています。

  • 自分の専門性が活かせる職場だ
  • 毎日かわいい子ども達と関われる

 そんなワクワクした気持ちで社会人生活をスタートしました。

給料はよくはないし、夜勤もあり、仕事内容がなかなか大変ということは重々承知の上。

それでも、その職場で働きたいという気持ちが大きかったので、最初は「全然平気!」と思っていました。

大好きな仕事でも辛かったこと

大好きな仕事でやりがいもありましたが、中には辛かったこともありました 。

特に辛かったのが「他害」のターゲットになったこと。

他害というのは、他人に対して暴力を振るってしまうこと。

障害のある子どもたちの中には、自分の思いを言葉で表現することが難しいために暴力的な行動で思いを表現してしまうことがたまにあります。

同僚の中には、他害で骨折や顔を縫う大怪我をする人もいました。

普通の生活の中で「人から理由なく暴力を受ける」ってなかなかないですよね。

でも、私が勤めていた職場では他害を受けることが日常でした。

だから、仕事で怪我をすることについておかしいと思わなかったし、怪我をしても同僚と「勲章だね」なんて言い合っていました。

怪我をすることについての感覚が麻痺していたのだと思います。

 

誤解のないように補足すると、適切なコミュニケーション手段を教えたり、不安や混乱がないように日常生活をわかりやすく整えることで、他害は解消することができます。

でも、そのためには高い専門性と、職場全体で一丸となって取り組んでいく体制が必要です。

だから、残念ながら現場ではうまくできていない現状もあるんです。

 

そんなわけで、私が当時勤めていた職場でもどうしても他害が無くならない子もいました。

その子が、ある時から私の姿を見ると他害をせずにはいられない衝動に駆られるようになってしまったんです。

 遠くにいても、私の姿を見つけると走ってきて殴りかかる、噛みつく、頭突きするなど…。

子どもとは言え、相手は高校生。

自分より身長も体重も大きな人が、一切の手加減なしで攻撃してくるのを想像してみてください。

それが一日に何度もあるんです。

私にとっては恐怖でしかありませんでした。

仕事は好きだしその子のことも好きだっただけに、他害のターゲットになるのはかなり辛かったです。

なにより、「子どもに恐怖心を抱くなんて保育士失格だ」と罪悪感でいたたまれない気持ちの毎日でした。

ついに体調に異変が現れる

そんなこんなで、辛いこともあるけど基本的には好きな仕事なので、日々頑張って過ごしていました。

でも、就職して半年ぐらい経った頃からじわじわと体調が悪くなってきました。

 症状としては以下のような感じです。

  • 食事が食べられない
  • 吐き気がする
  • 息苦しい

内科へ行くと胃腸炎と言われ整腸剤を処方されました。

でも、薬を飲み切っても症状は一向に良くならず…。

それどころかどんどん悪化し、2ヶ月経つ頃にはご飯粒を一粒飲み込むのが精一杯。

仕事に行くと気合で何とか動けるのですが、帰宅すると完全にスイッチが切れてしまって寝込むことが多くなりました。

仕事以外はずっと布団の中っていう感じです。

そんな日々が続き、さすがに「これ、胃腸炎じゃないでしょ」と思い始めた時に、たまたまインターネットで『うつ病チェック』を見つけました。

面白半分でやってみたところ、結果は27点中25点という超ハイスコア。

ここで「もしかして、うつなのかな?」とやっと気づくことができました。

体調不良の原因が判明。やっぱりうつだった

食たべられない、眠れない、息苦しいという症状が本当につらかったので、すぐに心療内科の診察を予約しました。

でもこのときもまだ半信半疑。

 

「本当にうつなのかな?」

 

「だって、仕事好きだしなぁ」

 

「病院まで来てうつじゃなかったら恥ずかしいな…」

 

そう思いながら待合室で診察の順番を待っていました。

でも、こんな半信半疑の私も自分のうつを確信する瞬間がきます。

それは診察室に入り、お医者さんに「今日はどうされましたか?」と聞かれ口を開いた瞬間。

言葉より先に、涙と嗚咽が溢れ出て何も喋れなくなってしまったんです。

自分でもそんなことになると思っていなかったので、まさかの事態にびっくり。

 

こんな自分、普通じゃない。やっぱりうつなんだ。

 

この出来事で、自分の精神状態が普通じゃないということをやっと理解することができました。

 

今まで仕事のことで泣いたことなんてなかったのに…。

やっぱり私しんどかったのかな…。

 

 涙と嗚咽で 何も喋れない中、他人事みたいにそんなことを思いながら号泣し続けていました。

 

好きだった仕事を休職、そして退職

心療内科の初診で、すぐに仕事を休むように勧められたのですが、

  • 「仕事は好きだから休みたくない」
  • 「自分に能力がなかったために既に迷惑をかけている」
  • 「これ以上同僚に迷惑をかけたくない」

そんなことをくり返し言っていました。

でも、その時のお医者さんが根気強く私を説得してくださり、最終的に休職することを決めたんです。

ところが、仕事を休んだ途端、それまで耐えていた堤防が限界を向かえたかのように崩壊。

身体的にも精神的にも不調がどんどん現れて、復職できる状態ではなくなってしまいました。

結局、当時の職場を退職することに。

二次障害としてパニック障害も併発し、普通の日常生活が送れるようになるまでに3年、服薬を辞めるまでに10年の月日がかかりました。

もっと早くに自分の異変に気づいて、対処できていたらこんなに大事にならなかったのにと後悔しましたが、もう後の祭りでした。

【対策】保育士がやりがい搾取にあわないための4つのポイント

大好きな保育士の仕事に着いたのに、やりがい搾取にハマって気が付いたらうつになっていた私。

症状が改善した後は、また保育士に戻りました。

ホームヘルパーに転職したこともありましたが、気がつけば15年間ずっと福祉関係の仕事を続けています。

15年間福祉職をする中で、やりがい搾取にあわないためのコツがわかってきたので紹介します。

  • 業界の常識に染まりすぎない
  • 自分の強みを持つ
  • 国の責任をカバーしようとしない
  • 職員の権利を大切にする職場を選ぶ

それぞれ説明します。

業界の常識に染まりすぎない

福祉業界には独特の「常識」がありますが、それは世間にとっての「非常識」なことが多いです。

私の場合は、

  • 他害を受けるのは日常茶飯事
  • 怪我をしても仕方ない
  • 困難なケースに対応できない自分が悪い

こんなふうに思い込んでいました。

でも、これって私が勝手に思い込んでいただけなんですよね。

「これって普通じゃないよね」と気づき、はっきりと助けを求める声を上げていたら状況は変わったかもしれません。

業界の常識に染まり「これって普通じゃない」と気づけなくなると、助けを求める声を上げることはできません。

自分で自分を守るためには、業界の常識に染まりすぎず「世間の常識」の基準を見失わないことが大切です。

自分の強みをもつ

私はうつの影響でフルタイムで働けない期間が3年間ありました。

その間に大学院に通い、もともと好きだった自閉症について専門的に学びました。

最近は保育園に通っている自閉症の子どもたちが増えてきていますが、保育士で自閉症のことを専門的に学んでいる人はあまり多くありません。

だから現場でとても重宝されており、給与面でも優遇してもらっています。

また、「誰にも負けない」と思えるくらいのスキルが身についたことで、「今の職場を辞めても他に行ける」という安心感があることも大きいです。

資格コレクターになるのはよくないですが、現場で求められているスキルで、他の人が持っていない知識や資格があるとかなり強みになるのでおすすめです。

国の責任をカバーしようとしない

はっきり言って福祉政策は国の責任、国の課題です。

困難なケースに直面すると「解決できない自分が悪い」と思いがちです。

でも、ちょっと待ってください。

困難なケースに対応するためには、

  • 充分な人員の確保
  • スキルの高い人を雇える人件費
  • 職員の研修費用
  • 適切な環境設備

が必要となります。

そしてそのような物的資源を整えるのは国の役割です。

福祉への予算が削減される一方で、質の高いサービスが求められると、その負担は現場の職員に押し寄せます。

つまり、国の足りない所を現場の職員自身が補って、安い賃金で働いたり、休日に自費で研修に行ったりしているわけです。

困難なケースが改善されない時に、「自分の責任だ」と抱え込む必要はありません。

困難な状況が改善できない原因は、自分ではなく職場全体の仕組みや国の政策にある場合も多いからです。

冷静に考えて、国という大きな組織の責任を自分1人で背負うなんて不可能ですよね。

問題の原因がどこにあるのかを冷静に見極め、「自分の責任は何か?職場や国の責任は何か?」を分けて考えるのがおすすめです。

職員の権利を大切にする職場を選ぶ

子どもや利用者さんの権利を大切にしていても、職員の権利についてはあまり考えていない施設は多いです。

子どもの権利や利用者さんの権利を大切にする、サービスの質の向上を目指すと謳っている福祉の職場はたくさんあります。

人員も給料も増えない中でどうやってサービスの質の向上を図るかというと、職員が低賃金のままで今まで以上に仕事をするしかないのです。

子どもたちや利用者さんのことは大切にしていても、職員に自己犠牲を強いる職場ではやりがい搾取が起きる可能性が高いです。

やりがい搾取されにくい職場を選ぶためには、職員の権利も大切にしているかどうかを見極めることが大切です。

見極めるポイントには以下のような項目があります。

  • 昇給があるか
  • 定時で帰宅できるか
  • 有休がとりやすいか
  • スキルの高い職員がいるか
  • 勤務時間内に事務時間が確保されているか
  • 会議や研修は勤務時間内に設定されているか

上記の項目全てに当てはまる施設はないかもしれませんが、職場選びの目安として参考にしてただけたらと思います。

【まとめ】好きな仕事ほどやりがい搾取に要注意|保育士の夢が叶ったのに気が付いたら病んでいました

以上、希望の職場に就いたのに気が付いたらうつになっていた体験談と、福祉職がやりがい搾取にあわないようにするポイント4つを紹介しました。

  • 業界の常識に染まりすぎない
  • 自分の強みを持つ
  • 国の責任をカバーしようとしない
  • 職員の権利を大切にする職場を選ぶ

福祉職を希望する人は、やりがいを求めていて雇用条件が悪いのを承知の上で就職するなど、元々やりがい搾取にハマりやすい傾向があります。

でも、やりがい搾取にハマってキャパオーバーな仕事が続くと、私のようにうつになって数年を棒に振ることもあります。

そうならない為には、やりがい搾取に陥らないように意識することが大切です。

それでもやっぱり、保育士が好き

仕事がきっかけでうつになった私ですが、辛かった日々を支えてくれたのも仕事場での出来事です。

退職前に、私が担当していたAちゃんにお別れの挨拶を言いに行きました。

A ちゃんは、知的障害がとても重いタイプの子でおしゃべりはできません。

感情を表に出すタイプではなく、Aちゃんが笑顔になるのは食事で大好きなデザートが出た時や、年に数回のご両親との面会の時だけ。

そんなAちゃんが久しぶりに私の顔見て弾けるような笑顔見せ、飛び跳ねて喜んでくれたんです。

そして私の手を引いてどこか連れて行こうとしました。

ついて行ってみるとそこは調理室。

月に一度、Aちゃんと一緒にクッキングを楽しんだ思い出の部屋の前でした。

 

「クッキング楽しかったよね!」

「次はいつするの?」

「もう一回しようよ!」

そんな声が聞こえた気がしました。

やっぱり子ども達と関わる仕事が好きだなあと思ったし、今でも心の支えになっているエピソードです。

 

福祉の仕事は大変だけど、やっぱりやりがいがあって楽しい!

好きな仕事を楽しく無理なく続けられたら、それが一番いいですよね。

 

あなたが好きな福祉の仕事を無理なく続けるために、本記事の内容が少しでもお役に立てると嬉しいです。

この記事を書いた人

名前:kaka(@kakabl0g

障害のある子専門の保育士。

子どもはふたり。フルタイム勤務のワーママ。

うつの後、ちょっとしたことで体調を崩すようになったのが悩み。

体力ゼロのワーママである私が、過酷な育児を乗り切るために始めたのが「ネントレ(ねんねトレーニング)」と「おもちゃレンタル」。

子どもの幸福度を維持しつつ、ママが楽に楽しく育児をするための工夫をブログで紹介しています。

家事・育児・仕事のバランスに悩んでいる方は是非読んでみてくださいね。

【ブログ】

ちいらぶ~おもちゃレンタルで育児が楽になる~

ネントレ部~ねんねトレーニングで育児をHappyに~

本当の「自分に向いてる仕事」の見つけ方
  • これが本当に自分に向いている仕事なの?
  • 本当はもっと自分が活躍できる場所があるんじゃないの?
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自分の強みを知って、自分に向いている仕事の見つけ方

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