こんにちは! ファッションジャーナリストの高嶋一行(@tokyosamplesale)です。
前回は僕がアパレル業界で働いていた際のブラックな経験をご紹介しました。
そして今回はこの会社を辞める際に経験した円満退社の失敗談です。
ちなみに皆さんは円満退社が必要だと思いますか?
普通なら大多数の方が「必要」と答えるでしょう。
特にこれから転職を考える方にとって、できるならモメる事なく会社を辞めたいと考えるはず。
もちろん僕自身も、仕事を辞める際に
「円満退社で退職できればいいな」
と思っていました。
でも、結果的に僕は円満退社なんて全く実現できませんでした。逆にモメにモメて逃げるように会社を去っています。
今回はその実体験と、これから転職活動をする方に僕からのメッセージをお送りします。
また、どうしても仕事に行きたくない方はこちらの記事も読んでみてください
円満退社できませんでした!
今から3年ほど前、僕はスタッフ10名以下の小さなアパレル企業に勤めていました。
5年間働いたその会社を辞める際に、僕は円満退社の失敗を経験しています。
「円満退社ができないってどんな状況なの?」
と疑問に思う方もいらっしゃると思うので僕の経験談をご紹介しましょう。
これから会社を辞める予定の方は、こんなケースもあるという事例として参考にしてください。
「恩を忘れるなよ!」の捨てセリフ
「会社辞めたいんです」
そう社長に告げたのがお盆休み明けの8月中旬。
スタッフ全員でのミーティング後に、社長と二人きりにタイミングで伝えました。
突然の報告で社長もビックリしていた様子。
でも、すぐに社長の態度は「呆れ」と「イラ立ち」へと変わっていたのを覚えています。
「なんで辞めるの?!」
「これからどうするの?!」
なんてお決まりの質問を浴びた後。
最後に社長から出た言葉が
という捨てセリフでした。
どれだけ体育会系な職場だろうと、長時間のサービス残業や休日出勤をしようとも、社長や会社にお世話になったのは事実です。
お世話になったことはこれからもずっと忘れないですが、まさか社長から「忘れるなよ!」と言われるとは思いませんでした。
ただ明らかに言えることは、この段階ですでに円満退社に失敗しているということ。
そして、これから始まる退職までの苦痛が始まるということです。ハァ〜。
辞める日が決まらないまま働き続ける毎日
実は僕は退職の希望を伝える際に、1点ミスを犯しています。
これから辞める予定のみなさんは十分に気をつけてくださいね。
社長に
「いつやめたいの?」
と聞かれた時に引き継ぎも考慮して
「1ヶ月後でお願いします」
と答えた時です。
と答えが返ってきたのです。
そうです、僕のミスは会社が決めている引き継ぎ期間を把握していなかったことです。
労働基準法では”辞職意思表示をした2週間後に退職の効力が生じる”と表記されていますが、これは雇用期間に定めの無い場合。
正社員として雇用される際に、契約を交わしているはず、、、なのですが、全く記憶にないのです。
会社で働いて5年。5年前にサインした書類の内容なんて覚えているはずがない。
なので、これから会社を辞める方にアドバイスをするなら、自分の会社の雇用契約は確認しましょう。
基本中の基本かもしれませんが、僕のように忘れていると確認不足でトラブルとなる場合があります。
円満退社も実現しなくなるでしょう。みなさんは同じような失敗はしないでくださいね。
話は戻って、僕の退職日です。
機嫌が悪くなった社長は「辞める日はスタッフみんなで決めてね」と僕の退職日に関する話し合いを放棄。
僕の退職日は他のスタッフと相談して決めることとなりました。
最短でも引き継ぎは3ヶ月間。
でも辞める日は未定。
辞めたいと思っているのに辞める日が決まらない状態って、出口のないトンネルのようで辛いですよ。ホントに。
交代要員は自分で探してよ。えっ?
どうやら円満退社どころか、僕には味方は一人もいなかったようです。
社長が僕の退職に関しての話を放棄してから、僕は自分の退職日を他のスタッフと相談して決めることとなりました。
実はこれが最も苦戦したポイントなんです。
アパレル業界って、とにかく一人当たりの仕事量が多く、みんな作業でいっぱいいっぱいなんですよ。
例外なく、うちの会社もまさに多忙。
そんな中、最短3ヶ月での引き継ぎとなると、秋冬シーズンの忙しい時期にも重なるんです。
だだでさえ忙しいのに
「1人社員が辞めると自分たちの負担が増える!」
と考えるのは自然の流れでしょう。
スタッフの誰一人として、僕の辞める日に対するハッキリとした返事を出してくれないのです。
「僕の退職日は引き継ぎ3ヶ月を考慮して11月◯◯日でどうでしょうか?」
と提案をしても
「この仕事にまとまった人数が必要だからもう少し。。。」
と曖昧にされることが続きます。
もちろん社長は
「スタッフがOKだったら、いつ辞めてもいいよ」
の無責任な回答だけ。
僕はこの状態でズルズルと引き継ぎ期間の3ヶ月間を働きました。
そしてある日、耳を疑う言葉を他のスタッフから聞いたのです。
「自分が辞めるなら、あなたは代わりに働く人を探してるの?」
要約すると「交代要員を見つけてから辞めろ」ということです。
ちょっと学生バイトのシフトでよくあるフレーズっぽいですが、もちろんそんな義務はありません。
人員確保は僕の仕事ではなく、本来なら社長の仕事です。
僕はこの言葉を聞いた時に「多忙は人の判断も狂わせるのか」と少しゾッとしたのを覚えています。お〜コワッ。
最後は強引にフィニッシュ!会社を去りました。
結果を言うと「もう限界!出勤しません!」と思い切りました。
一応、退職届はすでに提出しているんですよ。
8月の中旬に申告して、引き継ぎに3ヶ月。11月中旬の退職日を記載して渡しています。
でも11月下旬になってもまだ働いている自分がいるんです。
転職した経験がある人なら分かると思いますが、引き継ぎ期間ってすごくストレスが溜まるんです。
100%の円満退社の方なら問題ないかもしれませんが、気まずい思いをしながら働くって大変なんですよ。
さらに僕の場合、会社のみんなとモメてる訳なので、毎日が苦痛ですよ。
もう感情なんて感じることなく淡々と仕事をするだけです。
ですが僕にも限界があります。
引き継ぎに用意された3ヶ月が過ぎたあたり、終わりの見えない話し合いを続けることにストップをかけました。
「◯◯日以降はもう出勤できません!」
この一点張りで強引に決め込みました。
他のスタッフが
「次の週の作業で人が足りないので、、、」
と言われても
「ムリです!」
と突き放す。社長にも
「◯◯日で辞めることになりました!」
で強引に退職日を決めました。
そうするなら最初から強引に行けよ!と思うかもしれませんが、これは僕の最終手段。
最後までどうにかみんなに納得してもらった形で辞めたいと思っていました。
でも、それも無理だと分かりました。
もう円満退社なんて大失敗と言えるほど、逃げるように辞めました。それしかなかった。
円満退社にこだわる必要ナシ!
こうやって円満退社とは正反対の辞め方をした僕ですが、辞めてから3年経った今言えること。
それが「円満退社なんて目指す必要は無い」ということです。
モメてもいいから、自分が辞めたい時に辞める!これが一番だと感じました。
「円満退社できなかったらどうしよう、、、」
そう不安に感じている方は、どうぞ安心してください。
その後の仕事に全く支障ない
全く問題ないです!ホントに。
円満退社ができないことで起こる不安。それが
「今後の仕事に影響しないだろうか?」
ということでした。
特にアパレル業界は業界内での繋がりが強く、良い噂も悪い噂もすぐに広がる傾向にあります。
なので会社とケンカ別れをすると
「今後アパレル業界では仕事ができなくなるんじゃないか?」
と不安になりました。
自分にとっての悪い噂が広がるとイメージダウンに繋がってしまうと考えていたからです。
しかし、円満退社失敗から3年たった現在でも全く仕事に支障ありません!
もちろん会社側のスタッフが不満やグチを言っていたかもしれません。
でも、僕のとってその影響は全く無かったです。
「アパレル業界は思ったよりも狭く、どんな情報もすぐ広がってしまう」
なんて言われることがよくあります。
アパレル業界に限らず、他の業界でもそんな感覚を持っている方がいるのではないでしょうか。
でも、やっぱり業界は”狭いようで広い”と思います。
たった一人の社員が会社とモメて辞めたとしても、そんな情報は業界全体に広がる訳がないんです。
父親のアドバイスも的確だった
普段聞かない父親のアドバイスも聞くもんですね。
退職日が決まらないまま会社を辞められない状態で苦しい時です。
離れた実家で暮らす父親に電話で相談したことがありました。
「仕事を辞めたいけれど、退職できる日が決まらないまま働き続けている」
という内容で相談しました。
父親の回答はとてもシンプルだったのでハッキリと覚えています。そのアドバイスは、
「会社に行かなきゃいいじゃん!」
でした。
「自分で決めた退職日を伝えて、その日以降出勤しない。それで十分」
ということ。
当時の僕からすれば目からウロコなアドバイスにビックリしましたが、本当にその通り。
実際にアドバイス通りのことはしませんでしたが、いざとなれば会社に行かなくていいと思うと気が楽になりました。
これから会社を辞める予定の方で「辞めさせてもらえない」なんて問題に直面することがあれば、会社に行かない選択肢もあることを覚えておきましょう。
もちろん、その後は労働基準監督署に相談という流れになりそうですね。
円満退社よりこだわるべきは自分の未来
目的は仕事を辞めること。円満退社なんて手段でしかないんです。
僕は残念ながら円満退社ができず、モメにモメて会社を辞めました。
でも、時間がたってから思うことは、決して間違いではなかったということ。
円満退社が目的で仕事を辞めるのではなく、次に待つ自分の未来のために仕事を辞めたはずです。
よく仕事で「過程は見ない!結果が全て!」というのなら、結果を指すのが「退職」であり、過程が「円満な退社」だと思います。
なので、どんな方法でも「自分が辞めたい会社を退職することに全力で取り組めばいいんです。」
考え直せと引き止める人もいるでしょう。
裏切り者扱いする人もいるでしょう。
でも、そんなことは関係ない。
会社を辞めた後の自分の未来を優先するなら気にする必要はないんです。
今、自分が最優先するのは自分のこれからであり、他人のご機嫌ではないはずです。
そうやってある程度割り切ると、会社を辞めることも過度に不安になる必要はないですよね。
これから会社を辞める方は、何よりも「自分の未来優先」で考えて欲しいと思います。
この記事を書いた人
名前:高嶋一行
イギリス在住のファッションジャーナリスト。tokyosamplesale.comというメディアの運営者。
ロンドンファッションウィークの取材などを中心に、ヨーロッパにてフリーランスで活動中。
メディア:tokyosamplesale.com
Twitter:@tokyosamplesale
管理人:☆←ヒトデの一言
- これが本当に自分に向いている仕事なの?
- 本当はもっと自分が活躍できる場所があるんじゃないの?
- そんな風に考えて今の職場で力を発揮できないのは自分の甘えなの?
- 今の職場で駄目なのは才能云々では無くて、ただ単に自分がポンコツなだけなのかな……
そんな悩みを持っている方向けに
自分の強みを知って、自分に向いている仕事の見つけ方
をお伝えします